結婚といえば

それでいきおい同じ映画を二度、三度と観ることになった。読書と映画を観るのがそのころの私の唯一の楽しみだった。いつかこの話を作家の北杜夫さんにしたら、北さんも同じころ松本の旧制高等学校に行っていて、ぼくと同じ映画館で同じ映画を観ていたのだそうだ。シモーヌ・シモン、ヴィヴィァン・リイ、ヴィヴィァーヌ・ロマンスなどという美人女優の話などが出て、大変懐かしかった。こういう女優たちはそのころまだ少年といっていい年ごろの北さんやぼくたちの血をたぎらせたもので、ぼくなど本気で将来は青い眼をしたお嫁さんをもらおうなどと考えたものだった。コミュニケーションは大切です。、出会った結婚相手であってもコミュニケーションが出来ていないと幸せな時間は長くは続きません。だから、結婚といったら当然恋愛結婚で、それ以外のことはまったく考えたこともなかった。これが良かったのか悪かったのかはわからないが、とにかく所期の目的を達成して結婚し、今日に至っている。嫁さんの眼と髪が黒いのが残念といえば残念だが、まあ、あまり欲はいうまい・正直なところ、結婚は恋愛がいいか見合いがいいかと問われれば、私としては、なんのためらいもなく「恋愛がいいに決まっている」と答えざるをえないわけだ。恋愛結婚がいい理由はほかにもある。ぼくの両親は昭和の初めごろに結婚したのだが、会社の上司が仲に立っての見合い結婚だった.父が二十九歳、母が十九歳の時だ。すぐ子供が生まれて母は家事に忙殺され、父は父で会社に全精力を傾注して働いた。朝は早く家を出て、夜は得意先の招待などで帰宅は深夜だった。

参考: DK140_L